古代裂とは

古代裂とは

古代裂とは、歴史的に古い時代の染織品の断片のことをいいます。
一般的には、100年以上経過している裂地のことを指しますが、現在では明治時代頃までのものを古代裂と呼ぶ場合もあります。

江戸時代までの古い裂地は時代によって3つに分類され、飛鳥・天平時代は「上代裂(じょうだいぎれ)」、鎌倉・室町時代は「名物裂(めいぶつぎれ)」、江戸時代頃までを「時代裂(じだいぎれ)」と分けられ、この中の上代裂は、そのほとんどが奈良時代の遺品である正倉院裂および法隆寺裂に分けられているのです。
数も法隆寺裂が1万点、正倉院裂は20万点あるといわれています。

鎌倉・室町時代の名物裂は、主に宋・元・明などの中国から渡来した緞子(どんす)、金襴(きんらん)、間道(かんとう)など、当時の茶人たちに珍重されていました。
その後、茶碗や茶入れなどの仕覆(仕服)に用いられたことがきっかけとなり、名物裂と呼ばれ親しまれるようになったのです。

「上代裂」や「名物裂」はなかなか目にすることがなく大変珍しい古代裂です。
「時代裂」は歴史の古い裂地の総称ともなっているため、時代などに明確な区切りがない部分もあり、目にすることもあるでしょう。
また最近では、昭和初期の裂地も含めて「古布(こふ)」と呼ばれる場合もあります。

古代裂の特徴とは

古代裂の特徴は、様々な織り方や染め方で個性を出していることです。
唐代(618~)に緯錦が完成されるまでの期間は、経錦が錦の中心となっていましたが、織り方が複雑なことから徐々に緯錦が発展し完成されていきました。
そのため、初期の頃の織り方や染め方も、時代の移り変わりと同時に工夫や個性が加わっていったのです。
その工夫が感じられるのは古代裂ならではといえるでしょう。

日本にしかない伝統的な図柄であったり、渡ってきた技術を入れ込んだ色彩だったり、様々な古代裂からどの時代にどのように使われてきたのかを感じることができます。
また、織物の素材や色使いなどから時代の風景を読み取れる唯一のものではないでしょうか。
古代裂で歴史の背景を感じてみましょう。

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