中国掛け軸とは
中国の掛け軸の歴史は、西暦1000年ほどの北宋時代に始まると言われています。
ただ、それよりも前の飛鳥時代には、日本に「中国から伝わった文化である」掛け軸文化が始まっていたとも言われています。
このため、掛け軸の歴史は、800年代~1000年代にかけてゆっくりと成熟していった、と考えられるのかもしれません。
中国の掛け軸は、仏教的な意味合いが強く、仏画として使用されていました。これは日本に伝来してからも変わりません。
初めのうちは、額縁に納められた形で広まっていった中国掛け軸ですが、持ち運びに困らないということで、徐々に現在の「紙の」掛け軸が愛されるようになっていきました。
中国掛け軸の魅力と特徴とは?
中国の掛け軸の場合、絵画であっても、
「その絵画に関係する詩句」
「なぜこの絵画を作ったか」
「描いたのはいつか」
「誰が描いたか」
などが「絵画のなかに」書かれているという特徴があります。これは中国掛け軸の大きな特徴です。
もちろん、近代に描かれたものには例外もありますが、中国の掛け軸における一つの大きな「面白さ」であることに間違いはないでしょう。
初めは「仏画」として発展した中国の掛け軸ですが、日本の掛け軸同様、時代がたつに従い、自然の造形美や美人画、動物の美しさ、あるいは歴史的な場面の一部や歴史上の人物を描く、というように多様化しています。
一つの例として挙げられるのが、日本でも人気の「三国志」を取り上げた絵画などです。
軍神として知られる関羽、想像上の人物でありながらも呂布を籠絡した傾国の美女として名高い舞姫貂蝉、天下の鬼才として名高い諸葛亮などを取り上げた掛け軸は人気が高く、さまざまな画家の手によって描かれています。
このように、中国の掛け軸にはさまざまな面白さがあります。