砥部焼とは
愛知県伊予郡砥部町を中心に作られている陶器で、丸みがあり、どこか温かみのある作品が多く、肌に溶け込むような形や重量感が特徴的な焼き物です。
厚みのある白磁に薄く藍色の手で描かれたデザインが主流で、主に食器や花器が多く見かけられます。
丈夫さもあり食器の中では強度がある方とされており、何十年経っても使い続けられる食卓には欠かせない食器と言えるでしょう。
砥部焼の歴史
砥部町の土地は周囲を山々に囲まれており、燃料の赤松の豊富さや、山なので傾斜が多く窯作りに最適な場所であるという、良い焼き物を作るための条件が多く重なったことから、焼き物に適した環境ということが広く知られるようになりました。
そのきっかけとなったのは、杉野丈助が磁器作りから3年程の歳月をかけて、白磁に藍色の手描きで描かれた焼き物を作り出したことにあります。
以前は生活に必要な茶碗や皿などを多く焼いていましたが、江戸時代後期になると徐々に形を変えていき、絵柄が豪華であったり、格調高い白磁の作風も増えてきました。
全体的な青みや口縁は少し厚くさせていることで、全体的にぼってりとした器となり、太陽文、唐草文などが描かれたものが一般的な砥部焼と言われていますが、現代にかけて変化していきデザイン性の高い器が多く見受けられます。
砥部焼の特徴
砥部焼の大きな特徴は、シンプルながらも色合いがきれいで、さらに料理や花が映える器が多いことです。
基本的に、白磁には藍色を合わせるのがほとんどですが、最近では女性の作家さんが増えたことで、食卓に添える花のような色合いの絵付けも増えてきました。
どこかに新しさを表現しつつも、以前から変わらない砥部焼の厚みのあるぼってりとしたスタイルも残しつつ、新しい要素を取り入れた砥部焼は可愛さも相まって多くの女性に人気です。
最近は焼き物産業の落ち込みもある中ですが、砥部焼は根強い人気を誇っています。
現代の変化も取り入れつつ、歴史を重ねていく陶器と言えるでしょう。