昭和刀とは
同じ日本で生産された日本刀でも、特に昭和初期から終戦にかけての間に大量に生産された日本刀を”昭和刀”と呼んでいます。
昭和刀がなぜ大量に生産されたかというと、昭和刀は軍刀する目的で作られたからです。
日本刀のように職人が様々な素材や焼き方で繊細に作りあげているわけでもなく、工場で鋼を日本刀の形に型抜きして作っているものもあります。
切れ味よりも、戦地で折れずに戦うために作られた物が多いのです。
また、工業技術の進化をそのまま使って今までの日本刀をさせたことで、曲がったり折れたりしにくいものや刀の形になっているだけのものもあります。
のちに刃の部分だけ付けたものもあり、昭和刀といってもそれぞれによって刀にばらつきがあります。
昭和刀の特徴は
昭和刀は日本刀のような長さはなく、2尺1寸~2尺2寸(63.7~66.7cm)程度の物が多くなっています。
江戸時代の常寸となっている2尺3寸5分(71.2cm)と比べると特に短い刀だったということが分かります。
そして適度な反りの4分~5分(約12~15mm)の物が多数を占めており、万人が持ちやすく使いやすくなっています。
日本刀は、古刀や新刀の様に?元から先に向かって徐々に狭くなっていきますが、昭和刀は厚みがある刀が多くなっています。
特に、松葉先と横手の所の重ねは日本刀と比べると厚くなっていて、戦争での曲がりや折れに対して考慮した結果、このような短く厚いスタイルになっていたのだと思われます。
また厚みがあることで耐久性はありますが、切れ味は研ぎ足りないものが多くあり、切れにくい刀としても知られています。
骨董品としての価値
日本刀と比べると優美な華やかさや切れ味、デザインなどで劣る点が多く、骨董品としての価値も今まではあまりなく、同じ日本刀でありながらなかなか評価の対象にはなりませんでした。
しかし最近では昭和初期の日本刀を美術品や昭和刀独特の機能性から再評価されつつあります。
ただしこれは細かい時期や刀の良さで見直して評価しています。