加山 又造について
加山又造とは
加山又造は、日本画家及び版画家であり、数々の作品を残した人物です。
生まれは京都にある西陣織の衣装図案師の家で生まれ、幼少期から父親やその弟子たちの仕事を見て育ってきたと言われています。
さらに、仕事で使用される図案集や画集などを読み、それを真似て絵を描き始めるようになっていきました。
その後加山又造は13歳の頃に京都市にある美術工芸学校に入学し、さらに17歳になると東京藝術大学の前身ともされている東京美術学校へと進学していきます。
戦後に父親が亡くなった時、京都へは戻らず東京でアルバイトをしながら母と妹のために送金を続け、自身も学業に励んでいました。
東京美術学校を出た後は、山本丘人に師事し画業の道へと進んでいきます。
28歳になると初の個展を開き、さらに31歳では第2回グッゲンハイム賞国際美術展へ出品したことがきっかけで、海外で日本画の展覧会が開かれた時は、加山又造の作品も出品されることが多くなっていったのです。
その後は大学で後進の指導を行っていましたが、作品作りは続けています。
中でも、BMWからの依頼で自動車に日本の伝統的な技法でもある切金を用いて自動車のデザインを施しています。
作品の特徴
加山又造の作品の特徴は、やはり日本画特有の様式美を現代的に表現されていることです。
日本画には写生に重きを置いたものもありますが、加山又造の作品は様式美に力を入れています。
例えば、東京国立近代美術館に収蔵されている「春秋波濤」という作品は、波を描いた作品なのですが、その波の中には桜や紅葉などが表現されています。
波のようにも見え、その波も荒れた高波のようにも見えますし、逆に穏やかな波にも捉えられる不思議な作品です。
このように作品の対象となるものをシンプル化させ、デフォルメにすることで見る人それぞれの感じ方が変わる作品が、「様式化」されているということになります。
また、加山又造は日本画だけではなく、陶磁器やタピスリー、コーヒーカップのデザインなど、あらゆるジャンルの芸術作品を残しています。
有名作品
加山又造の有名作品は、上記で紹介した「春秋波濤」以外にも、1978年「雪」「月」「花」や1982年「黄山霖雨・黄山湧雲」、1984年「墨龍」(身延山久遠寺大本堂の天井画)などが挙げられます。