東山 魁夷について
東山魁夷とは
東山魁夷は昭和を代表する日本画家で、優美かつ繊細な色使いが幻想的なタッチの風景画を中心にした作品が有名で、優れた芸術センスから生まれながらの画家とも称賛されています。
1908年7月8日に横浜で誕生し、3歳の頃に神戸に転居しました。
子どもの頃から絵を描くことが好きで、13歳の頃から独学で油彩を描きはじめ、第二神戸中学(現在の兵庫高校)に在籍中に画家を志望していました。
17歳に頃に中学の担任に頼み反対する父を説得し、東京美術学校の日本画家に進学します。
東京美術学校の卒業後は研究科に進学し、さらに東洋美術史の研究を目的にベルリン大学(現在のフンボルト大学)へ留学し、留学中はヨーロッパ各地を巡り、スケッチや西洋美術の吸収に熱を入れていました。
しかし、父の危篤により20代後半で帰国し、また実家の破産や父と弟の死、母の病と不幸が重なり東山自身も画壇に認められることなく、しかも時代は第二次世界大戦の真っ只中という過酷な状況だったようです。
そんな東山の転機は39歳の頃に鹿野山へ登り、そこで見た景色から芸術の方向性が掴め、そこから作風が確立するまでは少し歳月がかかりました。
50代以降は北欧の景色や皇居新宮殿での壁画制作、奈良・唐招提寺御影堂の障壁画などを手掛け、70代以降は第二期唐招提寺障壁画制作のために中国へ訪問したり、ヨーロッパで回顧展や新作展を開いたりと、創作意欲は歳を重ねるたびに強くなっていったようです。
90歳で死を迎えましたが死の直前まで絵を描き続けました。
東山魁夷の代表作
初の出世作となる残照は鹿野山の風景を題材にしており、もの寂しさを感じる夕暮れと山肌の変化は、失意の中にあった東山が自然と一体になった時の感情を示しているようで、大自然のエネルギーを感じられる作品です。
白い馬シリーズの1作品で、いきいきとした緑の自然風景が美しい作品です。
自然の息吹を浴びる白馬の姿も幻想的で、東山が感じた自然風景がそのまま反映しているようです。
東山の遺作で、夕闇に4本の杉が立つ風景と上空の一番星が特徴的です。
この風景は生前手に入れた墓場の眺めに似ており、まるで杉は早くに亡くした両親と兄弟、そして光輝く星は東山自身を表現しているように感じます。