日本画 -漆絵-

漆絵とは

漆絵とは、墨摺版画に絵具を使って彩色をして、さらに黒い部分を強めるために髪の毛や帯などの部分に黒漆を使用し、光沢感を出すために筆で色を付けたものを指します。
透漆(すきうるし)に顔料を混ぜて描き、中国では二千年前くらいの古い時代から行われていた手法でした。
簡単に彩色した紅絵に比べると漆絵は手が込んでいて、より複雑でありながらも丁寧に描かれています。
江戸時代の浮世絵などに描かれた色彩技法で、主に1716年から1744年の頃に行われ、漆絵に金粉を使うこともありました。

漆絵は、漆の木から採取される白く粘り気がある樹液で、品質も優れている天然の塗料の天然漆が主な材料となり、他にも金、銀、鉛、貝殻、木片などが用いられることもあります。
塗り方も複雑で、木地に下染をしてから下絵を描き、漆を塗り込んだ後で金などを貼り付け上絵を描き、磨きをかけていきます。
漆を塗るたびに干して乾かしてから磨いていくので工程が多くなり、手間もかかりますが、磨かなければ光沢が出ないのでせっかくの漆の良さを出すことができなくなってしまいます。

漆絵の特徴

漆絵の特徴は、深く黒く輝く色彩が大きな特徴となります。
他の画法と違い、漆絵は光の加減で色が違って見えるため、見え方の違いを楽しむこともできます。
漆絵の美しさや艶感を立体的に楽しめるので、飾っているだけでも大きな存在感を出すことができます。
また、漆絵の使われる漆も色の種類が数種類しかありませんが、重ねることで深い色合いを表現しています。

漆絵の有名作品など

漆絵の有名作品は狩野芳崖の「飛竜戯児図」や竹内栖鳳の名作「虎」、狩野洞雲益信の名作「花鳥図」 などがあります。
俵屋宗達は、風神・雷神などの作品が有名です。
漆絵に見せられた画家の松岡太和は漆絵のジャンル確立に奮闘し、「流星」や「緋牡丹」などの作品を残しました。
酒井抱一は、風情ある情景を得意とし「桜」や「四季花鳥風月図」などが有名な作品として知られています。

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